住みたい・住み続けたい未来の出水への新たな提案

自分たちにできることは何か。分からないけれど、役には立ちたい。

私たちは、総合的な学習の時間の一環として、郷土である出水市と本気で向き合い、出水市の未来をよりよくする手立てを日々模索しています。

若者の人口流出は現在の出水市にとって非常に深刻な課題です。こうした現状に少しでも良い変化の兆しをもたらしたい、そして故郷である出水市の未来に貢献したい、という漠然としながらも、心の底からあふれてくるこの思いを原動力に、本活動に取り組んでいます。

私たちの活動の目的は、「少子高齢化を食い止める」あるいは「出水市を都会にする」といった漠然とした理想を掲げることではありません。

地域創生というと、どうしても大きな目標や劇的な変化を志向しがちですが、まずは「現状を安定的に維持できる体制を整えること」こそが、最も基本的で重要な視点であると考えています。

高校生として、今できることは何なのか。自分ができる郷土への恩返しは何なのか。そう自問自答しながら、これからも出水市の未来について考え続けます。

出水市は、紫尾山の麓に広がる出水平野や、不知火海に面した長島・獅子島など、豊かな自然に恵まれた地域です。冬には世界的にも有名なナベヅルが飛来し、貴重な生態系が守られていることでも知られています。こうした自然は、地域の誇りであると同時に、観光や農業などの面でも重要な資源となっています。

私たち1班は、出水市の自然環境を未来に引き継ぐために何ができるかをテーマに探究活動を行いました。まず地域住民へのインタビューや、市内の環境保全団体との協働を通じて、現在の課題や取り組みを調査しました。特に、農業と生物多様性の両立、水質保全、若者の自然離れなどが浮き彫りになりました。

私たちは、地域内外の人々と協働しながら、自然の魅力を発信する仕組みづくりや、環境教育の機会を増やすアイデアを提案します。例えば、小中学生と連携した自然体験ツアーの開催、ツルの保護活動と連動したSNS発信、地域農業と連携した「エコ体験学習」などです。

この探究を通じて、出水の自然をただ“守る”だけでなく、“活かしてつなげる”という視点を持つことの大切さに気づきました。今後も私たちは、出水市の自然とともに生きる未来の形を、多くの人と協力して模索していきます。

取り組んだ内容と結果

私たちの班は「住みたい未来の出水(移住促進)」「住み続けたい未来の出水(人口流出防止)」の二つの観点のもと、以下のように探究を行いました。

1、仮説を立てる

若者が市外に流出する原因

  1. 出水市に大学がないため、進学時に流出してしまう
  2. 出水市にはあまり就職先がない
  3. 田舎だから

移住が進まない原因

  1. 職場が少ない
  2. PR不足
  3. 支援不足
2、現状把握

出水市の人口は50,093人(令和7年度時点)。平成12年度以降減少し続けています。このままでは令和12年度には5万人を割り込む見込みです。

現在出水市では1,4人で1人の高齢者を支えていることになります。令和7年度の全国平均は2,0人であることを考慮すると、出水市は少し厳しい状況にあることがわかります。

次に出水市の月別転入転出状況から転出が3月に飛び抜けているのを見ると、進学・就職で出水市を離れてしまうことが推測できます。

出水市の職について調査したところ、令和6年11月から令和7年11月までに、月刊有効求職者数が月間有効求人数を上回っていないため、出水市には十分に働ける場所があると考えられます。ただし、出水市のフルタイム賃金・パートタイム賃金を見てみると、職種によっては最低賃金ギリギリなものもありました。

出水市の支援の現状については、出水市の制度についてまとめてあるのでご参照ください。

 
3、考察・比較

鹿児島市と出水市の雇用密度は同水準なのにも関わらず、なぜ出水市の方が高齢化率が高いのか。

以下のような考察を行いました。

1、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が働いているのではないか

2、業種の差異

若者の好む「ホワイトカラー職」の割合が、鹿児島市は出水市の3倍であることがわかりました。転出先として鹿児島市が一番多かったのことも納得できます。

3、各家族世帯の世帯数

大家族世帯が移住する場合、祖父母は実家に残るケースが多いため、このことが高齢化率の上昇につながっている可能性は十分に考えられます。

4、課題設定
  1. アンコンシャスバイアスの改善
  2. 進学・就職時の転出超過の改善
  3. 子連れ家庭の転入増加
  4. 若者にとって魅力的な出水市へ

いずみゆめキャンパス構想

出水市内の高校には商業・情報・工業・医療福祉・保育などの多様な学科が揃っているにも関わらず(隣接する市には農業もある)、中学生の市内高校への進学率は68%にとどまっており、教育資源が十分に活用されていません。こうした状況を踏まえ、地域の教育資源を統合し、出水市全体を一つの大学キャンパスとみなす、横断的で探求的な一貫教育モデルを提案します。

いずみわくわくライフパック

出水市には私たちが思っているより多くの支援制度が整えられています。ですが、多くの市民がどんな制度があるのかを把握できていません。その原因の一つとして、出水市のホームページは、ライフイベントごとに制度が振り分けられていますが、そこに書かれていないものや、一目でどんな制度なのかを理解できない構造があると考えています。

そこで、私たちはライフイベントをフェーズごとに分け、ロードマップとすることで、「この制度、私も利用できるかも」と自分に関係する支援制度をわかりやすく可視化しました。

また、私たちはより出水の制度について知ってもらうため、新たにホームページを開設しました。

https://tsurunote.studio.site/

みまもりタウンいずみ

〈目的〉

 1.孤立を防ぎ、世代間で役割を交換しながら支え合う生活モデル

   高齢者が見守りや知恵を提供し、現役世代がITや実務のサポートを子育て世帯は子どもの存在を通じて活気をもたらすなど、互いに支え合える関係を育む。

 2.日常の中で自然に交流が生まれる仕組み

   共有スペースや生活の場を工夫して配置することで、日々の動きの中で多世代が自然に顔を合わせる仕掛けをつくる。

 3.子育て世帯と高齢者を中心に、誰もが安心できる環境

   同じ立場にある世代どうしで相談したり、身近な人たちを頼り合いながら、安心して暮らせる形をつくる。

 

 

〈具体的な仕組み〉

  (1)建築構造

                  内部                                 外観

イ:屋内縁側(インナーテラス)を利用した交流の促進

   ・各階の廊下を5メートル以上に広げ、ソファやテーブル、本棚などを配置する。

   ・通路を交流の場としても活用し、歩くこと自体が交流のきっかけとなる生活動線をつくる。

  ロ:機能分散による自然なすれ違い

   ・ランドリー、図書コーナー、食堂などの生活機能を各階に分散して配置する。

   ・住民が移動する過程で、他世代とさりげなくすれ違う仕組みを生み出す。

  ハ:プライバシーと開放感の両立

   ・木材や曲線を活かした温かみのあるデザインを取り入れる。

   ・各戸の玄関には小窓やガラス部分を設け、気配は伝わるがプライバシーは守られる構造にする。

  ニ:3階建ての低層集落

   ・建物全体を3階建ての低い階数に抑え、 周囲への圧迫感を減らす。

   ・周辺の保育所や老人ホームと中庭でシームレスに繋がる高さに設定する。

 

(2)コミュニティの特徴 

  イ:世代を超えたゆるやかなつながり

   ・多世代が同じ空間を共有しながら、交流を広げる。

   ・すれ違いや挨拶など、日常の小さな接点から関係が育つコミュニティ。

  ロ:役割を交換する参加型コミュニティ

   ・住民が得意なことを持ち寄り、図書コーナーの管理や季節イベントなどを協力して運営する。

   ・支える側、支えられる側という固定的な関係ではなく、互いに補い合う関係性を作る。

  ハ:安心して過ごせる見守りのある環境

   ・気配が伝わる玄関や広い廊下など、構造そのものが自然な見守りを生む。

   ・必要な時に声を掛けられる距離を保つ。

  ニ:地域とつながる開かれた集落

   ・中庭を通じて近隣の施設と行き来しやすく、地域の人も参加できるイベントの開催も。

   ・施設が単独で完結するのではなく、周囲の地域資源と連携して暮らしを支える。

 

 

〈効果〉


観察と今後について

私たちは出水市の自然について、現地の観察や地域の方々との交流を通して多くのことを学びました。ナベヅルの飛来地や出水平野の農地を訪れる中で、自然環境と人々の暮らしが密接につながっていることを実感しました。特に、農業とツルの共生に取り組む地域の努力や、自然を守りながら観光を促進しようとする姿勢に深い感銘を受けました。一方で、自然への関心が薄れてきている若者が多いことや、情報発信の工夫が必要であることも観察から見えてきました。

今後は、私たち高校生が地域の自然や課題について発信する役割を担い、もっと多くの人に関心を持ってもらう必要があると考えています。学校や地域団体と連携して、自然体験活動や環境保全のボランティアを広げるとともに、SNSなどのメディアを活用した発信にも取り組んでいきたいです。出水の自然を未来につなげるために、学びを行動につなげることが私たちの次の目標です。